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 ある男性の家の前に見知らぬ男女が座っている。一日中ずっとそこを動かない。食事をしているのか、トイレはどうしているのか。まったく不明だ。何日も居座っているので男性は警察を呼んだ。男女が連れていかれる。だが、翌日になると、ふたたび男女がいるではないか。急いで警官を呼ぶ。また連れだしてもらうが、翌日になるとまたあらわれる。男女の奇妙なうわさは街を越えて国中に広まった。男性にはどうしようもない。男女は理由も言わずに居座りつづける。やがて、男性が亡くなる。空き屋となった家について議論が起こる。男女がずっと座っていたのだ。彼らのものにしてもかまわないだろう。民衆の波に流されて空き屋は男女のものになる。その翌日、あちらこちらの家の前になぞの男女が出現した。  なぞの男女に居座られて家をとられる話でした。理不尽ですが、おもしろいですね。
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