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 ある男性、空港のロビーで黒髪の女性に目をとめる。うつくしい女性だと思った。なんとか女性に声をかけたい。その機会をうかがう。黒髪の女性は金髪の女性と話している。友人だろうか。しばらくしてふたりは別れて、別々の方向へ行ってしまった。男性がひとりで雑誌でも買おうとしていると、黒髪の女性とぶつかった。声をかけるチャンスだったが、ひと声かけただけで女性は消えた。その直後、男性がポケットの財布を確認すると見つからない。あの女性にすられたのだ。男性は女性を探す。ロビーに座っているのを見つけた。となりに座って男性が女性にいう。財布を返せ。すると、女性は案外すなおに財布を男性に押しつけた。黒髪の女性が走りだす。おかしいと思った男性が渡された財布を見る。自分の財布ではない。あわてて女性のあとを追う。女性を追いかける男性の背後から別の女性の声がした。「泥棒よ。捕まえて」声に応じた人間が男性を取り押さえる。ふり向くと、背後の女性は金髪の女性だった。ふたりはグルだったのだ。男性はおとなしく警察に捕まるしかない。  その後、男性の無実は証明された。盗まれた財布も返ってきた。しかし、これから女性をうたがいながら生きなければならない。  ふたり組の女性にしてやられる話でした。男性は無実が証明されたようですが、実際にありそうな手口で怖いですね。
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