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 ある男性が夜道を歩いている。ひとどおりはなく、家が一軒見えるのみ。すれちがうのは鹿くらい。男性が歩いていくと、家の窓に女性がいた。窓の外を見ている。男性は声をかけようかと思ったが、いくらなんでも不審だと思ってそのままとおりすぎた。女性の家をすぎたあとで考える。あの女性は男性を待っていたのかもしれない。男性が刃物を持っていて、その凶器で殺されるのを待っていたのかもしれない。いまごろ女性は窓を開けてだれもいなくなった道に出ているかもしれない。  夜道を歩く男性の妄想の話でした。ひとりで夜の道を歩いていると妄想くらいしかすることないですからね。いろいろなことを考えるでしょう。
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