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 ある男性、持っていた株が値下がりした。これも戦争のせいだ。男性には年老いた母親がいた。介護が必要である。そのための財産を作ろうと思っていたのに、株に全財産をつぎ込んでしまった。男性は母親に株のことを聞かれる。男性は大丈夫だと答えた。しかし、男性の株は下がりつづける。はやく戦争が終わってほしいと願うが、それはかなわない。母親の病状が悪化する。男性に対して悪態をつくようになる。こんな出来損ないの子どもで。男性の株はさらに下がる。戦争が終わる気配はない。男性の母親は記憶が飛ぶようになった。男性のことをだれだかわからなくなる。たまに記憶が戻ると罵声と暴力だ。それでも戦争は終わらないし、株は下がる。  男性の生活がどんどん追いこまれていく話でした。抜けだせそうにない絶望的な状況ですね。
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