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 評判の幽霊屋敷がある。見た目は普通、立地も平凡。だが、過去に使用人が女中を三階の窓から投げ落として殺した事件があった。それ以来、その屋敷に住むひとは半年と持たずに家を出ていく。ある男性、そんな屋敷の鍵を持っていると、おばにいわれた。本当に幽霊が出るのか、確かめに行こうと。男性はしぶしぶ承知した。ふたりが屋敷を目指す。屋敷に入るまでは幽霊が出るのかと懐疑的だった。しかし、屋敷に入ったとたん空気がちがう。ふと、だれかの声がした。ろうそくで明かりを取る。あたりにはだれもいない。屋敷を進んでいく。怪奇現象は止まらない。ドアの隙間にひとの影が見えたり、上の階を歩く足音が聞こえたりする。おばはすっかりまいってしまった。それでも三階まで進んできた。例の事件が起こった部屋だ。ここで一夜を明かす計画だった。だが、屋根裏部屋からはげしい物音がする。使用人の部屋だ。ふたりは屋根裏へ上がることにした。じっとしていても恐怖が高まるばかりである。階段を上る。すると、なにかが階段を下りてくる気配がした。あわてて壁に張りつく。そのなにかは三階の部屋に入った。争う物音がして、悲鳴が轟く。部屋から出てきたのは重い足取りをしたなにか。その直後に外の地面になにかがぶつかった音が聞こえた。ふたりは急いで階段を駆けおりた。この屋敷にこれ以上いてはいけない。玄関までたどり着く。やっととびらを開いて外に出られた。外に出るまでのあいだ、背後に何者かがついてきていたが、ふたりはけっしてうしろをふり向かなかった。取りかえしのつかないことになっては遅いからだ。  古典作品です。ホラーといえばこういう感じというお手本みたいな話でした。幽霊屋敷はわかっていても怖いですね。ホラーは個人的に得意ではありません。
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