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 ある新人小説家、編集者から自身の作品が映像化される話をもらう。小説家は舞いあがる。両親や友だちにドラマになると伝えた。その企画書が送られてくる。その内容は原作の設定を大幅に変えたものだった。主人公の渋い刑事が富豪の娘に変更されている。小説家は編集者に抗議するが、それなら断りましょうかといわれて、あわてて受けいれる。せめていい役者を使ってくださいと告げて電話を切った。編集者のほうではドラマの企画がとおったことにおどろいていた。映像化されることはめずらしいのだ。小説家がうれしがると思って連絡をする。しかし、小説家はキャストに不満のようだ。なんとか変えられませんかと頼むが、無理だといわれる。小説家はしぶしぶ納得するしかなかった。そんなやり取りがあったあと、編集部に連絡があった。大手芸能プロダクションからだ。あの小説の映像化の権利はどうなっているかと聞かれた。編集者はすでにほかの契約がありますと答えた。相手は残念そうに電話を切った。その相手が近くにいた俳優に告げる。もうほかに取られていたようです。なんだって。だからはやく取れといったんだ。あの主人公ができるのはおれしかいないのに。そういったのはだれもが知る一流俳優だった。  あと一歩ちがっていれば一流俳優に演じてもらえるところだったのにという話です。コメディとしておもしろいですね。
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