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 ある若手小説家、はじめてゴルフに行くことになった。はじめたばかりなので緊張する。迎えの車が家に来る。編集者とともに大物作家の家へ向かう。作家の家に着くと、腹を立てていた。時間が遅いと編集者を怒鳴りつける。連絡がうまくいっていなかったようだ。ゴルフ場への道中で渋滞に巻きこまれる。作家の機嫌はさらに悪くなる。小説家はなんとか場の空気を持たそうと話を切りだした。自分の母親がその作家の小説を読んでいた話だ。その話をしたおかげで社内の空気は持ちなおした。ゴルフ場につくと、若手小説家はまた別の大物と回ることになった。はじめてなのでなにもかもうまくいかない。ただ、先輩作家を眺めているだけだ。ゴルフが終わると、先輩から声をかけられた。おれたちを抜けるようにがんばれと。それくらいの気概がないとやっていけないと。若手作家は二次会に参加した。そこではまた別の大御所から声をかけられる。この前のきみの小説はおもしろかった。だが、つぎのわたしの小説を読んでくれ。きみのよりおもしろい。若手小説家は奮起した。このひとたちは居場所をゆずるつもりなんてない。引きずり降ろさなくてはならないのだ。  先輩たちからいろいろ言われますが、なんだかんだ期待されている感じの雰囲気でした。明るい話ですね。
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