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 ある編集者、上司から子どもの社会見学の案内をしてくれと頼まれる。自分の息子も来るらしい。それも今日来るという。断りきれずに引きうけることに。やってきた子どもたちを編集部に案内する。子どもから質問を受ける。この質問が予想外にきびしいものばかり。小説誌は黒字なのか。連載を載せているのはむだではないのか。単行本に載せるときに直すのなら原稿の下書きを載せていることにはならないか。などなど。編集者は追いこまれていく。また、事実をついてくる子どもに対して腹が立ってきた。ついに爆発する。好きでやっているわけではない。作家から原稿をとるためにしかたなくやっているんだ。と子どもたちの前で怒鳴った。終わったと思ったが、上司がやってきて、編集者の手を取った。子どももそんな苦労をしていたとは知らずにすいませんでしたと頭を下げた。どうやらおおごとにはならずに済んだらしい。  やたら鋭い質問をする子どもが印象的な話でした。
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