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 ある出版社、新しい文学賞を作ることになった。大きな賞になるように気合いを入れる。候補作を選ぶ。編集部としては自身の新人賞出身の作家に選ばれてほしいものだが、そううまくはいかない。選考委員による会議がはじまる。その結果受賞したのはマイナーな年老いた作家であった。はじまったばかりの新人賞としては最悪のスタートだ。編集者たちは落胆した。それでも受賞は受賞なので会見を開く。受賞した作家を迎えに行く。すると、その老人作家は受賞したことに静かに感動していた。そのすがたを見て編集者はこの賞を大きくしていこうと誓った。  賞の裏側を書いた話でした。なかなかうまくいかないものですね。
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