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 雑誌でミステリ特集を組むことになった。しかし、予定していた作家のひとりが急病で原稿を取れなくなる。メインになるはずだった作家なので編集部は困った。締めきりまで二週間しかない。代役を頼める作家は若手に限られるだろう。編集者は若手作家に頼んで回った。しかし、引きうけてくれるものはなかなかいない。やっとのことでひとり見つけたが、どうもミステリをかけるか怪しい。不安をいだきながらもその作家に依頼をした。  原稿を依頼された作家だが、案の定困っていた。ミステリ、しかも本格ミステリなど書いたことがない。いくら机の前でうなってもなにも出てこない。時間だけがすぎる。いよいよ切羽詰まってきたとき、編集者から電話があった。本格ミステリを書くひとが見つかったので、自由な作品で大丈夫です。作家は安堵した。  編集部も安堵していた。やはりあの作家に本格ミステリは書けないと思っていたのだ。なにはともあれ両者にとって良い結末になった。  ミステリ特集に関するドタバタの話でした。若手作家は助かりましたね。 
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