38

1/1

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/284ページ

38

 ある女性、両親に恋人を紹介しようとする。母親にはある程度話していたが、父親に話すのははじめてだ。父親は娘の相手が小説家だと知っておどろいた。おどろいて頭が真っ白になった。それと同時に不安に襲われる。会社員として生きてきた父親にとって小説家は未知の生物だ。はたして生活できるのだろうか。父親は小説家について調べることにした。調べていくが、どうにも良い材料が出てこない。本屋にも行ったが、娘の相手の本が平積みにされているわけでもない。やっていけるのだろうか。それに追い打ちをかけるように、娘が仕事を辞めて小説家の秘書兼事務に専念するといいだした。事態は悪いほうへと進んでいる。そんななか、父親は相手が書いた本を手にとる機会があった。普段まったく本を読まないが、その本にははまった。三日で読みおえてしまった。もしかしたら、希望があるのかもしれない。同僚と酒場で飲んでいると、その本について話している男がいた。だが、その男は本に金を払うのはばからしいといった。父親はそんなことはない。苦労をしているのだ。と反論し、喧嘩になった。ひと騒動になって家に帰宅する。顔面を殴られて腫れている。家に帰って冷静に考えた。娘が選んだやつだ。信じてやるのもいいのかもしれない。  娘の恋人が小説家で困惑する父親の話でした。最後は丸く収まりそうでよかったです。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加