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 ある女性、今日は結婚式だ。楽しみにしてきた。どんなドレスを着ようか、迷う。しかし、時間になっても相手の男性が来ない。女性は不安になり、男性を探しに行く。近所の店を回ったが、男性はいなかった。いったん自宅に戻るが、来た様子はない。女性は男性の家へ向かうことにした。教えられた住所につく。ドアをノックするが、出てきたのは男性ではない。男性のことを聞くと、居候をしていたが、今日の朝出ていったという。女性は男性の足取りを追った。商店や駅で聞きこむ。そのたびに来ているドレスと化粧を見られる。決まって薄ら笑いを浮かべられた。だが、女性は認めない。わたしは男性と結婚するのだ。女性はある建物にたどり着いた。ドアをノックする。返事はない。何度叩いてもなにも返ってこない。女性は家に帰るしかなかった。それから数日間、女性はその建物をたずねたが、ついぞ男性が部屋から出てくることはなかった。  まさかの悲しい話でした。女性が現実を受けいれるまでの過程が絶妙に描かれています。
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