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 ある夫婦の子どもが幼稚園に通いだす。親は不安だったが、子どもは平気な顔をして帰ってくる。そして、園に問題児がいることを毎日話してくれる。先生を叩いたとか、授業をさぼったとか。夫婦はわが子が問題児に悪い影響を受けないかと心配していたが、話を聞くうちに子どもからその問題児について聞くのが楽しみになっていた。子どもが幼稚園に入園してから一週間がたった。すると、その問題児に異変が起こった。あれほどさわぎを起こしていたのが急におとなしくなったという。なにがあったのだろう。再来週に保護者会があるので、問題児の親に聞いてみようということになった。さらに日にちは立つ。おとなしくしていた問題児だが、ここへきてまた騒動を起こした。口汚い言葉を何度も言って、廊下に立たされたという。子どもの親はますます問題児に興味が湧く。そして、いよいよ保護者会の日がやってきた。園児の親から問題児の親を探しだす。なかなか見つからない。親は担任の先生にそれとなく話しかけた。うちの子はどうでしょう。なれるのに時間はかかりますからね。いまは不安定でもあわてないでください。親は問題児の名前を出して聞いた。その子の親はどちらです。すると、先生は答える。そんな名前の子どもはこの幼稚園にいませんが。  問題児の話をおもしろく聞いていたら、問題児の正体は自分の子どもだったという話でした。わかりやすい話ですね。
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