68

1/1
前へ
/284ページ
次へ

68

 ふたりの子ども、移動遊園地の支配人のあとをつける。支配人は夜になって観覧車に乗った。付き人の男が観覧車を回す。数十回回すと、観覧車から少年が出てきた。子どもたちはあの支配人が子どもになったのだと推理する。少年のあとをつける。少年はある女性の家へ入った。自分の子どもをなくして以来、すこしおかしくなった女性だ。子どもたちは少年になった支配人が女性の財産を盗もうとしているとにらむ。女性が寝ているすきに金を持ちだすはずだ。そのことを女性に伝えるが、取りあってもらえない。家から追いだされる。子どもたちはあの少年が支配人なら自分たちを殺しに来るかもしれないとおびえる。その前に犯罪の証拠をつかむ必要がある。ある日の夜中に、家を抜けだして女性の家を監視する。あの少年が出てきた。金の入った袋を持っている。子どもたちはあとを追った。少年が観覧車へ向けて走る。少年のほうが足が速い。観覧車に乗りこむ。付き人が観覧車を回した。遅れて到着した子どもたちが付き人にとびかかる。そのはずみで観覧車の制御装置が壊れた。止めてくれと叫ぶ声をよそに観覧車は回りつづける。やっと、止まった観覧車のかごのなかには骸骨と金の入った袋があった。  タイムマシンの機能を持つ観覧車を使って犯罪をたくらむ支配人が、子どもたちの妨害によってひどい目にあう話でした。幻想的な話で個人的に好みです。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加