72

1/1
前へ
/284ページ
次へ

72

 ある捨てられた星で青い壜を探している男性がいる。旅の途中であった男とともに荒廃した都市を回る。男性はびんを探しながらもそれが見つからないことを望んでいた。見つからなければいつまでも探し求められる。びんを探している人間は大勢いる。だが、びんの中身はだれも知らない。望みのものが手に入るとしか聞いていない。  ある都市でびんの捜索をしていたとき、男が酒の匂いをさせていた。この荒れた街に酒があるはずがない。男性は男の見つけたびんに注目する。それは青い壜だった。探し求めていたものにちがいない。発見してしまった。そこへ拳銃を持ったやつがやってくる。びんを渡せ。男性はすなおに従った。これでまたびんを探す旅をつづけられる。しかし、男がやつを追おうといいだした。びんを持ち去ったやつのあとを追う。すこし走ると、道路にやつが倒れていた。死んでいる。びんを手にしたものはみな死んでしまうとのうわさがある。本当だったのかと男がいう。男性がびんはないかと探す。はなれた場所に四人組の影が見えた。あいつらが持っていったにちがいない。男性はびんのあとを追う。やはりびんを探し求めているのだ。男は男性についていかない。おれはびんごときで死ぬのはごめんだ。男性は男を置いて走りだした。四人組に追いつく。彼らもさっきのやつと同じように死んでいた。男性がそばに転がっているびんを手に取る。ついにびんを手に入れた。男性の旅が終わる。  しばらくして男がやってくる。男性のすがたはどこにもない。びんが転がっている。ふたを開けるとなかには酒が入っていた。男性がどこに行ったのか男にはわからない。  死を望むひともいるでしょうという話でした。捨てられた星なので希望に満ちたひとはあまりいないでしょうね。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加