75

1/1
前へ
/284ページ
次へ

75

 ある学校、子どもたちがよってたかってひとりの子どもを窓から落とした。教師が駆けつけるが、落とされた子どもは死んでしまう。この事件でショックを受けた教師の男性は、職をやめて地方へ引きこもってしまう。  そんな男性に、病気になった教師の代わりに数週間教壇に立ってほしいという依頼が来た。断ろうとしたものの、友人の頼みは断りきれなかった。ふたたび、子どもと接することになる。あの事件以来、男性は子どもは悪魔だと信じていた。いざ、生徒と対面してもきびしい態度を崩さない。平気でひと殺しをする連中だ。授業中の私語は許さないし、放課後の遊びも許さない。そんなある日、生徒たちが放課後に遊んでいるのを見つけた。男性が注意する。子どもたちは墓を飛び越える遊びをしているのだといった。コンクリートブロックに名前が書かれている。男性はそれを見てこれは墓ではない。ブロックを敷いたひとの名前だろう。わかったら早く帰るのだと子どもを追いはらった。  教師の仕事を終えるまであと数日。男性が自宅にいると、外から子どもの声がうるさい。注意してやろうと子どもを追いかける。しかし、地面に工事の穴が開いていることに男性は気づかなかった。落下する。  コンクリートブロックの上で子どもたちが遊んでいる。そのブロックにはあの男性の名が刻まれている。  子どもがおそろしい話でした。子どもは残酷ですから、こういう系統の話はけっこうありますね。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加