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 ある男性、サーカスで働いていたが、太りすぎて仕事ができなくなった。団長からも妻からも苦言を呈される。男性は全身に刺青を入れることにした。刺青を入れてくれる老婆を探しだし、たずねる。特別な刺青を入れるといった老婆の手のひらに男性の顔が刻まれていた。なぜ、わたしがおとずれることを知っていたのかと聞くと、わたしの刺青はそのひとの歴史をすべて刻むのだと答えた。意味がわからないが、男性は刺青を入れてもらう。そのときに胸の刺青と背中の刺青は特別だといわれた。いまは隠しておかなければいけない。胸の刺青を見た一週間後に背中の刺青を披露しろと。  男性がサーカスに戻って胸の刺青を見せる。そこには妻の首を絞める男性のすがたがあった。これを見た妻が男性を非難する。わたしへの嫌がらせでしょう。男性はそんなつもりはないというが、聞きいれてもらえない。さらに過激な刺青は使いものにならないと団長からサーカスを去るように言われてしまう。男性は胸の刺青をとろうとした。だが、どうやっても取れない。いらいらが募っていく。そんなある夜、魔が差した男性はとなりで寝ている妻の首を絞めてしまった。われに戻った男性があわてて逃げだす。犯行に気づいたサーカスの一員は男性を追う。逃げる男性を追いつめ、木の杭で男性の体を貫く。男性の背中の刺青が見えた。そこにはいまの状況と同じ光景が描かれていた。  未来を予言する刺青の話です。刺青が未来を予言するアイデアがおもしろかったです。
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