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 子どもの心を持ったまま戦場へ出てしまった男性、戦争ごっこをつづけている。銃弾を避けて戦場を進む。友人は男性に必死についていく。そんな男性をうらやむ男があった。男性だけ戦争ごっこ気分でいるのは卑怯だ。本物の戦争だということを教えてやる。しかし、友人が男から男性を守った。男性は子どものままだからこの戦場で生きているのだ。それが崩れたらいつ死んでもおかしくない。  だが、ものごとは都合よく進むわけではない。友人が銃で撃たれた。血が流れ、地面に倒れこむ。男性が友人を心配するが、声も出せない。そこへあの男がやってきた。男性にこれは戦争だ。お前もこいつもわたしも死ぬのだ、と吹きこむ。それを聞いた男性は走りだした。ちょうどそこへ砲弾が着弾した。  友人は病院で目覚めた。生きているようだ。となりに男性がいる。頭を損傷したらしい。友人は男性に男の言ったことはうそだ。子どものころを思いだせ。戦争ごっこだと言いきかせた。治療にあたっていた医師からあの男が死んだことを知る。男性と同じように敵陣に突っこみ、銃弾を何十発と受けて亡くなったそうだ。友人の呼びかけで男性は目を覚ました。男性が口を開く。「ママ」  前回の話のつづきです。なんで二話に別れているのかはわかりません。舞台が戦場ということもあり、それぞれ完全にしあわせとは言えない結末を迎えました。
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