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 ある街に住んでいる男性、だれともつき合おうとせずにひっそりと暮らしている。そんな男性でも唯一言葉を交わす青年がいた。その青年は男性が話しているときに手を動かそうとするのを無理やり抑えているのに気がついていた。なぜそんなことをしているのだろうと、聞こうとしたことがあったのだが、その機会はいまのところない。  男性が手を動かさない理由だが、過去子ども相手の教師をしていたときにあった。男性は子どもに手で触れてコミュニケーションをとるタイプだった。それがあるとき、悪いほうに誤解され、子どもにいたずらをしたのではないかと問いつめられた。男性は逃げるようにいま住んでいる街へやってきた。それ以来、男性の手はひとに触れないようにすごしている。  誤解をされて以来、ひとを避けるように暮らす男性の話でした。連作短編のなかの一作らしいです。連作短編の主人公は青年のようです。
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