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「夏樹先生、こちら新しく編集部に配属された西川です」
「西川です、よろしくお願いします」
先生と向き合う時にはいつものように取り繕う事ができたと思う。
「夏樹です。デビューから間もないのでご迷惑をおかけする事もあると思いますけど、よろしくお願いします」
「こちらこそ、不慣れで至らない点も多いかと思いますが何でも言ってください」
二人共にこやかに握手をして、表面上問題なく挨拶ができたと思った。でも、問題はここからだ。
「あ、まさか俺の担当変わったりしないですよね⁉︎」
手と手が離れた途端、夏樹先生は勢い良く振り返った。
「違います、新しい編集が配属されたら連載作家さん達には必ずご挨拶させて頂いてるんですよ!」
その勢いがあまりにすごいものだから、反射的に返す言葉も早くなる。
「良かったー! 榎野さんが担当じゃなくなったらどうしようかと! 俺、榎野さんじゃないと描けないですから」
「またそんな事言って。夏樹先生なら大丈夫だって言ってるじゃないですか」
「榎野さんは生涯俺の担当してくださいよ!」
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