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夏樹先生はやっぱり優しいと思う。他の編集がいる前で、こうやって担当者冥利に尽きる事を言ってくれる。
思わず顔を綻ばせると、思っている事が伝わったらしい。
「あ、冗談だと思ってるでしょ!」
「いつもありがとうございます」
「本気ですからね! 担当変わったら、本気で無理ですからね!」
「はいはい、当分は担当させていただきますから、これからもよろしくお願いします」
宥めるように言えば、夏樹先生はまた「冗談じゃないですから!」なんて噛みついた。
今日の目的は新しい編集の紹介。無事に挨拶も終わったし、ネームの打ち合わせは終わっているから日程には余裕がある。長居して漫画を描く手を止めさせる理由はない。
「お忙しいところお時間をいただいてありがとうございました。私達はそろそろ失礼させていただきます」
西川さんが切り出して立ち上がった。それに続こうと立ち上がると、夏樹先生の手に制される。
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