三、

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 それからも西川さんのおかしな言動は続いた。  大きな荷物を持っていれば持とうとしてくれるし、自動販売機近くで会えばドリンクを奢ってくれようとする。編集部でも他の人に聞けばいい事でも私に聞いてくる。  挙句の果てには。 「今日早めに上がれそうですね。夕飯でもどうですか? 二人で」  二人きりでの食事まで誘われる。  普通だったら、昔の私だったら絶対に勘違いしてる。西川さんに好かれてるなんて舞い上がって、きっと後で痛い目を見た。  だけど違うという事はよくわかっているから。 「ありがとうございます、でもこれくらい持てますから」 「ペットボトル、持ってきてますから大丈夫です」 「そんな事を言ってると勘違いされますよ? 今日は持ち込みの原稿を読み返したいので」  とにかく早口で返してその場を去るのを繰り返す。できるだけ仕事以外の接触をしなくて済むように避け続けた。  でも、働いていれば避けられないイベントもある。その一つが。 「よーし! 入稿終えたな⁉︎」 「印刷所に確認とりました! 全て不備なしです!」 「よし、片付け済んだ奴から行くぞ! いつもの座敷な!」  年度末の忘年会だ。
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