三、

18/26

83人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
 鼓動が速く大きくなっていくのがわかる。呼吸も苦しいくらい浅くなって、お願いだから誰も気づかないでと願いながら俯く事しかできない。 「そうですねえ……ご存知かわからないですけど有名なのだと桜宮リアンとか」 「あれだろ⁉︎ テレビアニメやった……ガールズなんちゃら!」 「エンジェルガールズ、有名だよな!」 「そうですそうです!」  最初に挙がったのは有名な少女漫画家の名前。私がやめた二、三年後に始まった連載はティーンエイジャーの人気を集めてアニメにもなった。西川さんが担当だったなんて思いもしなかったけど。 「あとは犬島らぶ子とか」 「あの犬の四コマの!」 「そうです、あのファンシー好きな女の子と犬の四コマです。それとEランクを描いた夢乃心とか」 「うちの娘が読んでたわ、あれ西川君が担当してたの⁉︎」 「本当ですか、ありがとうございます!」  この人達はよく知っている。私が連載を始める前から西川さんが担当していた犬島先生と、同じ時期に連載して、その後私よりずっと人気になった夢乃心先生。どちらも懐かしい名前だ。グッズがそれなりに売れていた二人だから先輩達からも知ってる知ってるなんて相槌が入る。そして。 「あとは占い師ミヤコの嘘とかポップバブルなんかも俺の担当してた作品で有名ですね。あー……あとはあれ、随分前ですけど女子高生漫画家としてデビュー当時ちょっと話題になった愛川エレナ、彼女も俺が発掘した担当作家ですね」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加