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最後まで捻じ曲げられて案の定。
「うわ、それはきついな」
「いるよな、投げ出す作家」
「自己中心的か撃たれ弱いかのどちらかだよな」
先輩達から厳しい言葉がかけられた。
あんな辞め方をした事への報復なのか嫌がらせなのか。膝の上で握りしめた拳に力が入る。
「少年漫画でもいるんですか?」
「いるいるー! ネットで少し叩かれて描けなくなる作家とか、売れっ子でも映画化して金入った瞬間もう描きたくないって言う奴とか!」
「でも女の作家先生の方が大変そうだよな」
「そうですね、基本的に夢見てる人が多いのでお姫様扱いしないとダメですね」
酔った先輩の一人が思い出したように「あ!」と声をあげたのはそんな喧騒の中だった。
「そうだ西川! 最近お前榎野ちゃんと距離近いだろ! ダメだぞ、うちの大事な紅一点に手を出したら! 気があるとか言わないよなあ!?」
話は考えられる中で最悪の方向に向かってしまった。
どうせ「そんなわけない」とか「もう少し美人だったら」なんて言葉が返ってくるに決まってる。西川さんのあの時の言葉は、声色までしっかり脳裏に刻まれている。
目を瞑ってその時を待つ。
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