四、

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 怒っていてわざとやっているのかとも思ったけれど、きっと違う。夏樹先生はまさに上機嫌といった感じで、これが誌面なら顔の横にニコニコなんていう擬音がつきそうな気がする。 「あの、夏樹せんせ?」 「あ、その呼び方可愛い! でも先生はなしの方が嬉しいんですけど」 「夏樹先生っ!」  こっちが戸惑っているのはわかっている筈なのにどこ吹く風。声を落とす気配もない。  幸いにも編集方は準備とお出迎えで皆ホールにいるからいいけれど、ここには他の先生達もいる。  不適切な関係だと思われたらどうしよう。そう思って恐る恐る先生達の方を見た。  でも。 「榎野ちゃんが困ってるじゃないか」 「嬉しいのはわかったからその辺にしとけよー!」  夏樹先生と話していた先生達からは、呆れや困惑どころか生暖かい声援ともとれるような言葉がかけられる。 「え、あ、あの……?」 「ちゃんと説明しておいたんで」  安心してください。夏樹先生はそう言って自信ありげに笑ってみせた。
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