四、

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 ーーどうしよう。  嫌な汗が背を伝う。そんな中で助け舟を出してくれたのは、可愛がってくれている大御所の先生だった。 「西川君ダメだよ、榎野ちゃんはダメ。僕らが認めた人じゃないと声かけ禁止なんだからな!」  かけられた言葉はお茶目でもあり、どちらも悪者にしない優しい言葉でもあった。一瞬で場の雰囲気が和らいで、ほっと胸を撫で下ろす。  だけど後に続いた声が良くなかった。 「そうですよ、榎野ちゃんは夏樹先生が予約済なんだから!」 「え」  からかうような言葉は夏樹先生に次ぐ若手の作家先生から。どうにか繕おうと思った時には遅かった。 「あらー! そうなの⁉︎」 「漫画家と担当編集の恋愛なんて素敵ねえっ!」 「どうしたんだ?」 「聞いて! 夏樹先生と榎野さん、お付き合いしてるんですって!」  近くでデザートを楽しんでいた奥様方に聞かれたのが悪かった。またとない話題に目を輝かす奥様達の声は当たり前のように会場全体に響き渡る。しかも話がどんどん大きくなっていく。
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