四、

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「嘘もう⁉︎」 「できてるよ……」 「榎野さん、アシスタント上がりじゃないですよね……?」  こちらを伺っていた周囲から驚きの声が漏れた。  先生はすぐに原稿を確認してくれた。  すごい漫画家の先生に自分の絵を見られている。緊張で小さく息を呑んだけれど、それも一瞬の事。 「完璧! 即戦力! トーンも貼れるって本当⁉︎」 「はい!」 「ならここに35番、で次のこっちに40番か53番ある方貼って! こっちは迫力意識で」 「わかりました!」  すぐに次の指示が出される。即座に椅子にUターンして、トーンに手を伸ばした。 「榎野、お前トーンなんて……」 「できます!」 「だから何でできるんだ!」  編集長の問いかけには答えなかった。代わりに手を動かし続ければ、背後から原稿に影が差し込む。 「……うまいな」 「榎野ちゃんいけそうだから、こっちは何とかなる! 終わらなそうな所にアシ一人回していいから!」 「ありがとうございます! じゃあこっち来て!」 「こっち欲しいです!」 「わかった!」  あっという間に背後が騒がしくなった。
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