漫画から始まる恋はない

ニ、

　そして一番の変化は。
「エレナさん、今度はこのカフェはどうかな？　ケーキが美味しいんだって」
「行きたいです！」
　西川さんの存在だった。

【今日の学校はどうだった？】
【楽しかったです！　放課後にクラスの子達と寄り道してプリクラを撮ってタピオカミルクティーを飲んできました！】
【楽しそうだね。学生時代が懐かしいよ。タピオカはやっぱり人気なの？】
　毎日メールをして。

〈今大丈夫だった？〉
「はい！」
〈良かった、声を聞きたくなって。〉
　三日に一度は電話をもらった。

「今日は少しドライブしよう。湘南方面に行って海を見て、観光地を散歩して美味しいものを食べて帰って来るなんてどうかな？」
「素敵です！」
「良かった、乗って」
　週末は色々な所に連れて行ってもらった。

「ここでライバルキャラを出すのはどうだろう」
　行き詰まった時は一緒に考えてくれて。

「そろそろ山場だよね。ゼリーを買ってきたんだ、疲れた時に食べてね」
　忙しい時には差し入れを持ってきてくれた。

「大丈夫、エレナさんにはたくさんの読者が待ってるんだから」
　落ち込んだ時には優しい言葉をかけてくれて。

「すごいよ、流石だ！　僕も担当として鼻が高いよ！」
　アンケートの結果が良ければ一緒に喜んでくれた。