プロローグ

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ーーー  私は父島の山中へパラシュート降下を成功させていた。雲の中で緊急脱出(ベイルアウト)したことから、追撃機(チェイサー)も私達がF35と一緒に撃墜されたと考えているだろう。三十五回目にして、初めて完全に米海軍(ネイビー)から逃亡する事に成功したという事だ。  地面に置いたLSS(生命維持装置)のロックを外し前面の扉を開けた。そこには可愛い我が()が眠っている。跳躍者(リーパー)としての遺伝子操作を施されたこの()も、私と同じ能力を持っている筈だ。でも……。  彼女の頬に手を触れると、娘がユックリと目を開いた。 「目が覚めた? そうね。貴女の能力は永遠に封印しましょう。貴女に生命の危機が起きない限り、その能力を復活させる必要はないわ。ねぇ、マリ」  マリが満面の笑顔で私を見つめていた。
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