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普通の毎日
それまで私は平凡な生活を送っていた。何も特別じゃなくて本当に普通の毎日……。あの時、私の能力が復活するまでは……。
ーーー
「ねぇ、真理。今日も一緒に帰ろうよ」
ホームルームが終わり、帰宅の準備をしている私の机の前に立ったのは親友の陽毬だ。彼女は平凡な私と違って成績もトップクラス、スポーツ万能で、私達の高校でも一二を争う美少女。そんな彼女がこんな月並みな私と親友なのは本当に不思議だけど、私達は何故かとても気が合うの。
「そうだね。ちょっと待ってて」
「じゃあ私、図書室に寄って来るから、下駄箱の所でね」
「うん、わかった」
陽毬はスカートの裾を翻して教室を出て行った。その後ろ姿を見ながら、席から立ち上がる。その瞬間、誰かが私の前に現れた。
「えっと、翔くん?」
それは同じクラスの渡辺翔くんだった。彼は陽毬とトップの成績を争っている秀才で、サッカー部のエース。そして学年一の美男子で女子の中でも一番人気の男子だ。そう言う私も、少しだけ……彼に憧れていた。
「なぁ真理。明日の土曜日って暇か?」
その言葉に首を傾げる。なんで彼が私の予定を聞くんだろう?
「えっと、午前中はバイトだけど、午後は予定ないけど……」
パッと彼の表情が明るくなる。
「バイトって六本木だよな。バイトの後、六本木で会ってくれないか?」
その声に私の周りが騒ついた。当たり前だ。こんな何の取り柄もない女の子に学年一の美男子が声を掛けているのだから……。
「えっ? 何で私と?」
「理由は明日話すよ。それじゃ十三時にヒルズ側の改札の前で」
そう言うと彼は教室を出て行ってしまう。私が呆然としていると、あっという間に教室に残っていた女子達に囲まれてしまった。
「ちょっと真理、翔くんとデートってどう言うことなの?」
彼女達のその言葉に私はオロオロするしかなかった。
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