永続シークレットガーデン

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 冬の植木屋もそれほど暇ではない。  この時期しか出来ないことも多いし、観光客が減るタイミングを見計らって行う手入れもある。  そんな中、小林家の寒椿は前シーズンに剪定したので今年は要らないだろう、というのが遼子と親方との共通見解だ。その代わり、肥料はいれようか、紫陽花と梅の様子も確認しておこうということで、マリさんとスケジュール調整の結果、小林家への訪問は年明けの諸々が落ち着いた1月下旬に決まった。ちなみに、10月には庭の秋の草花をマッピングもしている。  結局、親方はその後、ゆっくりと引退しつつある。  腰は寛解したが、やはり療養期間中の衰えが響く年だ。小林家以外にも、親方だけの繋がりで請け負っている仕事はあって、それぞれの引き継ぎを算段しているうちに年も暮れた。幸いなことにいずれも順調で、今年の夏が来るころにはおおよそ片が付くだろう。祖父も覚悟していたのか、山科先生の予想が当たっていたようだ。  やはり賢い人なんだろう、と遼子は妙なところに感心した。
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