灰かぶりの玩具

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「貴様ら! よく聴け!! 次の作戦において、貴様らを特攻隊として使うことになった! 最前線で帝国のために命を捧げるのだ! これは大変幸運な事である!」  それは、兵士として死ぬという事だった。 「各自、爆弾を背負い特攻してもらう! 銃を撃って敵を混乱させ、その隙に敵集団の中へ飛び込め! そうすれば、奴らは爆発四散するだろう!!」  上官の男は私たちに向けて叫ぶ。  皆私と同じくらいの歳で、男女が20人ずつほどの小集団だ。  自分たちが自爆兵として使われると聞き、震える者もいるが、私のように何も感じない者は多い。  玩具が使い潰される。ただそれだけだった。 「決行は明日の軍事時間一四◯◯だ!! 各々準備をするように!!」  上官からの指令が終わり、解散となる。  これまで数々の戦場へと送り出され、そのたびに帰還を果たしてきたが、今度こそ終わりのようだ。  しかし、明日自分の命が終わりを迎えると分かっても悲しみや恐怖は生まれず、日頃より教わった銃の点検をしようという考えのみが私を動かした。  今夜が最後だからだろうか······。その日、私の部屋を訪れる男の数は多かった······
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