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私は炬燵に入り、スマートフォンを持ち、友達みんなに新年の挨拶をする。ラインだったり、メールだったり、SNSだったり、人によって使い分けているのだ。みんな素早く返信が来る。私と同じで遅くまで起きていたんだろうに、やはり寝ていないのかな。
庭ではクロが散歩に行きたいのかキューンキューンと鳴いている。
「お母さーん、早くー」
「まだですよ、お父さんが起きてきてから挨拶しましょう。クロも待っててくれますよ」
「お父さんはノンアルコールビールじゃなかったの?」
「お父さんもお母さんと同じです。日頃の仕事の疲れがあるんでしょう」
なんだ、みんな素面だったのか。それにしては人生ゲームをやったりジェンガをしたり、かなり盛り上がって騒いだ。負けた人は罰として勝った人のいうことを聞くという決まりで、危うく好きな男の子の名前を言わされそうになったのだ。
友達からはぞくぞくと新年の挨拶が来る。「おめでとう」「おめでとう」
私は「お母さん、お母さんもパートの友達に挨拶しなくちゃでしょ。私、お節料理の手伝いするよ」と言った。
「あ、そう。じゃあ、刺身を切ってください」
「りょうかーい」
頷いてキッチンに行き、冷蔵庫を開ける。タコの刺身と鮪があった。私のお父さんはタコが大好きだ。回転ずしに行くと必ずタコを食べる。なんでそんなに美味しいのか分からないが、お母さんはお父さんの好物を把握しているのだろう。
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