テンション

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 キューンキューン、クロが外で鳴いている。私は残った日本酒を飲むとダッフルコートを着てマフラーを首にぐるぐる巻いた。 「散歩に行って来る」  外は風が強かったが空は晴れ渡っていて鳥が風に煽られて飛んでいた。 「クロ、散歩に行くよー」  犬小屋を覗くとクロは「ワン」と嬉しそうに鳴いた。リードを持って公園に向かう。ここは都内だ。お正月に帰省している人が多いのか、それともお正月でみんなまだ家でゴロゴロしているのか、車の通りが少ない。  公園に着くと、私の好きな男の子がシェパードを連れて散歩に来ていた。 「あっ、ノリナちゃん」 「幸也くん、犬飼ってんの?」 「落とし玉代わりに買って貰ったんだ。レオって名前なんだよ。前さ、ノリナちゃんが犬って可愛いって言ってただろう」  二匹の犬は最初は様子見をしていたが、次第に仲が良さそうにじゃれ合う。 「これから、毎日散歩に来ようと思うんだ。ノリナちゃんは何時ごろ散歩してんの?」 「私は休日は朝の9時くらい」 「じゃあ、僕もそうしようっと」  私はまた照れ臭くなって耳の辺りがバクバクする。今年は始まりから照れていたから1年照れて過ごさなくてはいけないのかな。私は顔を手で仰ぎながら言う。 「大晦日は12時まで起きてた?」  幸也くんは訊いていないのか視線を落とす。 「うん、あ、マフラー」 「えっ」  見ると私がしていたマフラーが首から地面まで垂れて幸也くんのレオが引っ張っている。
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