あの子の笑顔の裏側

1/1
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

あの子の笑顔の裏側

あの子の笑顔の裏側を、 想像したことがあるだろうか。 彼女の笑顔をよーく見てみると、 表情を無理に作っているようには見えない。 しかし、心の底から笑っているわけでもない。 とにかく、一生懸命に空気を読んで、 少しでも輪の中に入れてもらえるよう、 無表情でいたら、人は寄り付かない。 彼女はそれを知っている上で、 周囲から弾かれるのを恐れている。 あの子の笑顔の裏側を 想像したことがあるだろうか。 彼女の周りをよーく見ると、 誰も彼女のことをなど 気にかけていないようにも見える。 会話についていけず、 笑うことしかできない彼女は 時折は寂しそうな表情を浮かべる。 孤独を胸に抱えながら、 彼女は仲間たちの話に耳を傾ける。 誰も自分の言葉など聞きたいとは思っていない。 そんな締めの気持ちが心に根をはっている。 あの子の笑顔の裏側を、 想像したことはあるだろうか。 外の世界でよく笑う彼女だが、 部屋で1人きりの時はいつも泣いている。 自分が居ても居なくてもどうでもいいやつなのは、 嫌というほど分かっている。 笑顔が素敵な自分しか 見てもらえないというのは、 かなりの考えもの。 心が時折病みそうになるのも無理はない。 いつか心の底から笑えるときが、 来るかもしれない。 それでも尚、彼女は笑顔で居続ける。 小さくたっていいから、自分の居場所がほしい。 そんな望みを持ちながら、 今日も どこかで彼女は笑う。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!