消えて!

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消えて!

 私は、目の前のヨシオに聞いた。 「ヨシオ、この人たち誰? ヨシオを呼び戻したのに、関係ない人たちがどうしてゾロゾロやって来てるの!」  ヨシオが口を開いた。 「ミカ、俺はあの世との境目らしい大きな橋の上にいた。そこでどこからかヨシオは戻れという声が聞こえてきた。それに従って、橋から元来たほうに戻ったんだ。そしたら、俺の後ろから同じように戻ろうとする人が次々とやってきた。俺はその中の一人に聞いた。すると彼もヨシオだと名乗った。その後ろの人にも聞いた。やっぱりヨシオだった。そうなんだ。呼ばれた声に応えて蘇ったのは俺だけじゃなくて、それが聞こえたヨシオさんたちみんなだったんだ」  そんな……何で、私のヨシオだけじゃないの……あのおまじない、何か間違ってたんじゃないの?  しかし、さらにヨシオたちは増え、そのまま玄関から部屋の中に押し寄せて、部屋中がヨシオで一杯になった。  ヨシオたちに押される格好で窓際まで後退した私には、外の通りをさらに続々と年齢も様相も多種多様な男たちがこちらに向かってくるのが見えた。  私は、叫んだ。 「もういや、あんたたちなんて呼んでない! 消えてーッ!」  すると、目の前のヨシオたちが煙のように霞んで消えていった。  そして……私も意識が霞んで、静かに闇に落ちていった。
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