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〜バージニア州ノーフォーク〜
表向きは国際宇宙科学研究所として、TERRAの最先端技術を結集し、科学者を育成している。
その敷地内に併設してあるビルが、厳重に警備されたEARTH 本部である。
地球絶滅の危機が判明して以降、この研究所はスヴェルコフ博士の臨時研究所となり、優秀な科学者達が集められた。
今回、最大の危機は、想定外の未知の訪問者ではなく、太陽である。
「オリバー長官❗️」
第二の物体が大気圏に突入した頃、博士が突然長官を呼んだ。
尋常ではない声に、慌てて観測室へ向かう。
そこには、世界唯一の恒星専用望遠鏡がある。
入ると直ぐに説明を始める博士。
焦りが隠せない。
「長官、これが5分前までの太陽。問題は、こ…ここからです」
録画映像がスロー再生に変わる。
丁度、太陽の中心辺り。
一瞬白く光り、瞬く間に黒い点が生まれた。
「黒点の発生か?」
「長官…ここは太陽の赤道とされる位置で、普通黒点は発生しないとされています。黒点がなぜ発生するのか、諸説ありますが、今回のものは、周期外でもあり、外的なものの影響により発生したものと考えられます」
「隕石の衝突か?」
「いえ、たとえ地球大の隕石でも、太陽の直径は地球の109倍ですので、大海の荒波に小石を投げ込む程度。これは、ISSを破壊し、東京を襲った兵器によるものではないかと」
「では、残りのワームホールからの攻撃は、太陽に⁉️」
「我々の知る質量の概念が、全く通じない謎のエネルギー。そして、今の…いえ正確には、8分前の太陽がこれです」
「何だ、これは⁉️」
ざっと20箇所余りの黒い点が、地球から見た太陽の中心部に発生していた。
「恐らくこれらの黒点の直径は数万km。熱や光をも曲げる強磁場の塊です。急激に太陽活動が活発になり、いつ巨大なフレアを生じてもおかしくない状況なのです」
「しかも、地球から見た真正面にか?」
「流動的な太陽の自転と合えば、最悪は…。そうでなくても、余波は必ず来ます」
「オリバー長官、話は聞きました」
1200m上空から、ラブが割り込んだ。
「NASAとロスコスモス社にも連絡し、建設中の宇宙ステーションと、シールドの周期を同期させ、盾にするしか方法はありません」
「そんなことができるのか?」
「できるか、ではなく。やるんです❗️」
ラブとて自信はない。
しかしその声は、可能性を伝えるには十分であった。
「よし、博士はフレア発生の予測と、監視を。皆んなも作業を止めて、博士に協力しろ!」
オリバー長官が本部へ走って行く。
(…よりにもよって、こんな時に)
ラブの前方モニターには、大気圏に消えて行く小さな光達と、速度を落とした、直径約2.5kmの物体が3つ見えていた。
ゆっくりと確実に地球へと降下している。
「皆んな、ワームホールからの攻撃は地球にはもう来ない。アイ、ヴェロニカ、この物体の降下予測地点を、再計算して連絡を!」
…いつもの即答が…ない。
その頃、東京にも異変が起きていた。
晴海ふ頭公園を始めとし、救助活動をする人や避難する人々が、急に苦しみ始め、バタバタと倒れていったのである。
「ラブ様、球体は消滅し、どうやら有害なガスか何かが発生した様です。今厚生省と防衛省が疾病対策部隊を編成して向かってます」
「有毒ガス?」
「ガスかどうかは、まだ分かんないわ。ウィルスの可能性も。今ティークが検体を採取して、戻ったところよ」
「ごめんヴェロニカ、そっちは凛とお願い。アイは至急算出を!」
「了〜解❗️」
「分かりました、直ぐに」
ここで今、混乱するわけにはいかない。
「連合艦隊は今どこ?」
「ライオネルのルイスです。米・ロ艦隊は、ハワイ島の北東2000km辺り、多国籍艦隊は、イースター島の東800kmです」
(こいつ…)
「物体の着水による衝撃は心配ないわ、3体は…予想地点に向かっている様だわ」
「では、再度予定待機地点へ向かいます」
「アイ、どう?」
「ラブ様の推察通り、最初の地点にコース修正している様です」
「やはり…。通信は?」
「あらゆる方法を試しましたが、反応なし。それから、生体反応も見られません」
「無人?」
「或いは、アンドロイドやロボットは考えられますが…エネルギー反応自体がありません」
(全く未知の文明か…ならば)
「アイ、ステーションの同期と、シールドの移動を手伝ってあげて。コイツは、私が行くわ」
「無茶よ、ラブ❗️」
「ヴェロニカ、私を信じて」
分からないものを眺めていても、意味はない。
また、そんな余裕も今はない。
高度を下げ、加速するラブ。
巨大な3つの球体に向けて…
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