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第3章. Flare crisis
〜宇宙ステーション『Kizuna Ship』〜
各宇宙ステーションが、軌道修正を始めている中、T2はシステムの改良を続けていた。
「さすがTERRAのメカニックね、あらゆるシステムが、見違える様に効率的で、分かり易いものになったわ」
「これはこれは、NASAからお褒め頂けるとはね、光栄なこった」
(完璧なタイミングだな)
「しかし…ここでさえ、まだ半分も出来ていない。他のステーションはもっと遅れてるわ。本当に耐えられるのかしら?」
「TERRAの技術を甘くみるなよ。この外郭部のシールド能力は、HEAVENとの戦いで得た、先人達の最高傑作だ。脅威が強い程、シールドのパワーも強くなるって仕掛けさ」
「アメリカの空母ライオネルが、身をもって切り裂いた、あのシールドね」
(よく知ってやがるな…)
「今度の相手は、人間や地球なんかじゃなく、あの太陽よ。代償が大きくならなきゃいいけど…ね」
「喧嘩売ってる暇あったら、臨時便の計画と人選をシッカリ頼むぜ」
「勘違いしないで、私はNASAの味方じゃなくて地球の味方だから。次の便が最終よ、12時間後、乗り遅れないでね」
第一デッキから出て行くレイラ。
「どういう意味だ、ヴェロニカ?」
「嫌な感じね。後は任せたわ」
「了解!」
「あっと!忘れてた。博士がフレアの発生予想時間を割り出したわ。早くて12時間後よ。臨時便の時間を1時間早めるわ」
「おい、それ忘れるか?…全く💧。間に合うのか、シールドの同期は?」
「間に合わすしかないでしょ、今アイが頑張ってるわ」
「なら心配ないな、了解!」
(レイラには知らせない…か)
さすが世界最高頭脳だと、感心した。
〜南太平洋〜
速度を落として、ティークの到着を待った。
東方艦隊まで、1kmの海上1m。
レーダーが、潜水艦からの対空ミサイルと、上空からの複数の戦闘機を捉えた。
(やはり、来たか)
(アイ、金大統領と東方艦隊に繋いで、それからお願いしていた探知結果を!)
対ミサイル用『フレア』(※)を打ち上げながら、全速力で艦隊へと突っ込む。
※フレア:熱源探知ミサイル専用の囮
密集している艦隊の合間を、スピードを落として低空飛行するラブ。
潜水艦からのミサイルは、フレアを追って爆発した💥。
密集する艦隊に、艦隊内の海面を移動する敵を撃つ術はない。
「ティーク、上空で待機してて」
「了解」
「東方艦隊に告ぐ、私はトーイ・ラブ。長春艦長の劉偉艦長は、テロ組織の俊杰により殺害されました。騙されないで!艦隊を指揮しているのはテロ組織です」
各艦内に驚きの騒めきが起こる。
中には、コンテナ船からの増員や、航海長の張偉が艦長を撃ったということに、疑念を抱いていた者も多い。
「通信を切れ!」
「出来ません、外部からロックされました!」
そこへ…
「大統領の金だ、ラブさんの話は正しい。劉偉は反逆者だ、速やかに、艦隊を奪還せよ❗️」
大統領の指示は、艦長よりも重い。
各艦内で、銃声が響く。
(ラブさん…)
(えっ?)
聞き覚えのある声を感じたラブ。
〜長春艦橋〜
「同志に告ぐ、鑑を掌握しろ❗️睿泽、お前も行け!」
「待て」
「な…何⁉️」
蛇心リーダー、博 依然の両手の銃が、2人を狙う。
「依然、貴様❗️」
「私は、博 依然。蛇心は、テロには加担しない。皆んな、反乱者を排除しろ!」
コンテナ船から乗り込んだ中には、依然が指示した蛇心のメンバーがいた。
「博 依然❗️」
「ラブ、これで仮は返したわよ」
上空の戦闘機も、戦闘態勢を解いた。
「ティーク、加勢を!私は長春へ行く!」
形勢は完全にテロ組織が圧されている。
ティークのジェットヘリが急降下し、空母に着艦した。
直ぐ様飛び降り、艦内へ入り加勢する。
ラブの機が長春の甲板に近付き、飛び移ったラブが、艦橋を目指す。
「クソっ!全弾撃て❗️」
「バン、バン!」
頭を撃ち抜かれて、崩れ落ちる劉偉と睿泽。
硝煙が上がる銃が、通信士を狙う。
「無駄な抵抗をするな」
「ババババババババババシュン」
「ドドーン、ドドーン❗️」
長春の大半を、テロ組織が占めていた。
多数のミサイルと砲弾が、射程距離内にいる多国籍艦隊へと発射された。
「クッ!」
それに気を取られた依然に、隙が生まれた。
艦橋に反乱者が入り込んで来た。
が、倒れている劉偉と睿泽に気付き、一瞬遅れる。
「バババババ」
機関銃をかわし、身を隠す依然。
「バシュ!」
機関銃の男が、頭を撃ち抜かれて倒れた。
「バンッ!」
「フッ!」「ガッ、ズン!バシッ!」
ドアを蹴散らして飛び込んだラブ。
残りの3人を一撃で沈めた。
「依然!無事ですか?」
「ラブ」
依然が立ち上がる。
銃口は、通信士に向けたまま。
「ミサイルが❗️」
「大丈夫よ、想定内だから」
〜多国籍艦隊〜
最初から戦闘態勢を取っていた艦隊から、一斉に迎撃ミサイルが撃たれ、全弾を破壊した。
「ラブさん、ペルー海軍旗艦ロゲル 艦長のカルロスだ。全弾撃墜、被害なし」
「了解、さすがねカルロス艦長。ハワイ島で待機願います」
「了解した」
(さすが…か。あんたには敵わんがな)
〜長春〜
東海艦隊は完全に取り戻していた。
金大統領からの労いの言葉に、艦隊の士気も上がった。
「依然、どうして?」
「劉偉から協力の取引が来た時から、今回の騒ぎに対するテロ組織だと感じた。軍が我々の組織に協力要請など、あるはずがないからな」
皮肉気に微笑む依然。
「では、最初から潜入して、協力のフリを?」
「いずれこうなると思ってね。アンタに借りを返すには丁度良かった」
「依然、ありがとう」
硬い握手を交わす2人であった。
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