第3章. Flare crisis

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〜東京〜 都営地下鉄大江戸線。 汐留駅で止まった車内から、悲鳴をあげながら流れ出る乗客達。 駅員と警備員が慌てて、逃げる人を捕まえ、事情を聞く。 「どうしました?何があったんですか?」 「人が、人が死んでます」 それだけ告げて、走り去る。 駅員の頭の中に、『サリン』の恐怖が浮かぶ。 「駅長!停車中の電車で非常事態発生。番線の切り替えをお願いします」 直ぐに無線を切り、乗客の誘導に取り掛かる。 「2番線に停車中の車両は、トラブルの為、回送されます。お乗りのお客様は係員の指示に従って、慌てずにお降り頂きます様、お願いいたします。繰り返します…」 構内アナウンスが流れ、全車両から乗客が降り始める。 〜警視庁凶悪犯罪対策本部〜 刑事課の電話が鳴った。 「はい警視庁刑事課、どうしました」 ベテラン刑事の鳳来咲(ほうらいさき)が取り、スピーカーに切り替える。 「地下鉄大江戸線、汐留駅で乗客4名が死亡。出動願います」 「犯罪?事故?どっち?」 「薬物によるものと見られるため、犯罪と思われます。尚、犯人らしき人物は不明です」 署内のほとんどは、特設された疾病対策センターと連携して、先の襲撃による被害者の救済と不審死の調査に出ていた。 「咲、現場へ頼む」 部長の富士本恭介(ふじもときょうすけ)が指示する。 「分かったわ。もう、こんな時に❗️」 「ガスマスクを忘れるな!」 「俺も行くぜ」 鑑識・科学捜査部長の豊川勝政(とよかわかつまさ)である。 「アンタが出ていいの?」 「あっちは、TERRAと国がまとめてるし、俺しかいないからな」 「心強いわ、行きましょ」 防護セットのバックを持って、出て行く2人。 〜TERRA地下基地〜 ヴェロニカが降りて来た。 「昴、アイツはまだ見つかんないの?」 「1人気になる人物がいます」 モニターに、各所の監視カメラ映像が映る。 その1人に、昴がCAPS(キャップス)の犯罪心理データを重ねる。 「こいつは、確か晴海総合病院から、出てきた男ね」 「はい。犯罪を示す数値…というより、あらゆる数値がめちゃくちゃなんです。普通じゃありません」 「つまり、こいつは普通の人じゃなく、宇宙から来たアイツってことね!」 そこで、ふと気が付く。 「この映像は…違う顔じゃないの」 「でも、数値は同じです」 「複数いるってこと?」 「生体反応は一つでした。恐らく、あの顔や容姿は、カモフラージュかと思われます」 「マジか!でもそれなら、病院の件も納得できるわね。容姿を自由に変えられるってことね」 「それから、これは現在までに見つかっている、死亡者の分布です」 モニターに、晴海〜病院を含む地図が映り、赤い光が点在していた。 「病院のある月島から、地下鉄勝どき駅に向かっている様に見えます」 赤い点はそこで途切れていた。 「地下鉄に乗った…マズいわね」 「ヴェロニカ様、先程地下鉄大江戸線の汐留駅で、車両内で数名の不審死が見つかった様です」 「昴、そいつの写真を、富士本さんと咲ちゃんに送って」 言い終えて即電話を掛ける。 「どうしたのヴェロ?」 「ヴェロと呼ぶな〜💢」 「ごめん、忙しいの」 「切るな〜❗️」 「聞こえてませんよ」 さらりと呟く昴。 それはその通りである。 かけ直すヴェロニカ。 「はい、だからいそが…」 「切ったらヒール頭に刺すから!」 「いいわよ、刺し返すから!」 次元の違う会話に、呆れる昴とアイ💧。 「今写真を送ったから、良〜く聞いて。その男がたくさんの人を殺してるヤツ。地下鉄で移動したから、汐留駅もヤツの仕業よ。でも、顔や容姿は変わるから、服装だけを追って!分かった」 「………?」 「いきなりは、ムリかと…」 頭を庇いながら昴が忠告する。 「もう一度分かり易く言うわね!そいつはエイリアンで、晴海でたくさんの人を二酸化炭素中毒で殺し、地下鉄大江戸線に乗ったの。ここまではいい?」 「え、エイリアン?」 「そう、分かればよろしい。でね、そいつは顔や容姿を変える能力があるわけ。でも服装までは変えられないから、服装に注目して、指名手配を❗️分かった?」 「分かるかぁー❗️そんなのあり得ないっしょ❗️顔が変わる?はぁ⤴️⁉️」 「ん〜まったく頭硬いわね!あの球体を見たでしょ。あの、攻撃も見たでしょ!あり得ないことが起きてんのよ❗️頼むから信じて❗️」 そのタイミングで昴が、勝どき駅で電車に乗る写真、車内でその男の周りの人が倒れて行く映像、汐留駅で降りた映像を送った。 「確かに…顔が違うわ」 「信じてくれた?指名手配宜しく❗️」 (はぁ〜疲れた) 「昴ちゃん、ナイスタイミング!」 「ヴェロニカ様、太陽に異変が見られます」 瞬時に時計を見る? (全く!もう出る頃ね、間に合って〜)
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