第6章. 宿命の激戦

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第6章. 宿命の激戦

〜欧州・阿州宇宙連合〜 ESA(欧州宇宙機関)加盟国の、CNES(フランス国立宇宙研究センター)、INTA(スペイン国立航空宇宙技術研究所)、DLA(ドイツ航空宇宙センター)、そしてSANSA(南アフリカ国立宇宙機関)のバイコヌール宇宙基地、他10ヶ所の基地から、ほぼ同時刻に、核爆弾を搭載したシャトルやロケットが打ち上げられた。 EARTH 基地のモニターに、各地の映像が映る。 「長官、全て無事に打ち上げ成功です!」 綾原の隣で、グッ!と拳を握るオリバー。 世界中の機関で歓声があがる。 「ヴェロニカさん、今発射しました!」 「………」返信はない。 「ヴェロニカ…さん?」 「アイです、彼女は。敵の様子を見て、予定通り核ミサイルの発射を行ってください」 「…分かりました」 ヴェロニカのことが気になった綾原。 「欧州各国は、核ミサイル発射体制に入れ!」 オリバーが指示を出す。 〜太平洋上空800km〜 その瞬間。 敵の外層が一斉に分離した。 外層は全て、大小様々な数千の戦闘機や戦艦となり、次々と異次元移動していく。 「気付かれたか…」 ペンタゴンで、メイソン防衛長官が呟く。 (ラブ…) 祈るしかないスミス大統領。 現れた超巨大戦艦、グラドス。 艦首から3方向に突き出した砲台に光が灯り、周り始めた。 (アレを撃たせてはいけない) いつの間にか、隣に現れた球体。 その声はラブの頭に伝わった。 (ジュビム) 「T2、行くよ❗️」 一気に加速し、敵艦へ向かう。 「敵艦首に強大なエネルギーを感知しました。危険です!」 アイの声が聞こえた瞬間に、それが放たれた。 見えた敵艦との空間が、歪む。 (あの見えない砲撃か❗️) 「T2、後ろに!」 (かわせない、耐える!) シールドを最大出力で開くラブ。 「ジュプァーン⁉️」 聴いたことのない異様な響き。 一瞬目を閉じたラブ。 (…耐えた?) 「ラブ、前を!」 T2の声に、目を開けた。 「ジュビム❗️」 シールドの向こう側で、ジュビムの球体が展開し、強力なの壁を発生させていた。 「…コスモシールド。やはり、貴女は帝国の皇族か…」 少しずつ、壁が消えて行く。 「ジュビム、なぜ⁉️」 「ミルヴァ・クラウス皇女が、地球(ここ)を守れと命じた理由が分かった。まさか、帝国が滅びていなかったとは。最期に、お名前を…」 宇宙空間に漂うジュビム。 「…私は、大銀河帝国の王位継承者、トーイ・イルザ・ラブレシア。ジュビム…ありがとう。この生命(いのち)の星は、私達が守ります」 影が完全に消え、太陽光が一瞬にしてジュビムを消した。 (ステパールの護りし者よ。永久(とこしへ)の眠りへつくがよい) (…コスモエネルギーだと、バカな) (かす)かな呟きと、動揺が。 「お前は、誰だ❗️」 通信と強力な思念が、敵艦グラドスに響く。 「私は、プレアデスのヴァラント」 言語を持たないプレアデス星人ではない。 銀河史からアイが伝えた。 「お前は、帝国のヴァラント将軍⁉️」 衝撃の事実が今、明かされようとしていた。
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