You are my angel

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You are my angel

その夜は、慧が予約してあったレストランで食事をした。 個室ではあるけど、ドアの形に壁がくり抜かれていて、廊下との出入りが自由な席に案内される。 料理はコースを予約してくれてあったので、まずはビールをオーダーする。 せっかくなので、これまで飲んだことのないのがいい、という杏里の希望を聞きながら慧が選んでくれる。 「遅くなったけど、誕生日おめでとう」 慧がそう言ってビアグラスを持ち上げるので、杏里もそれに倣って、カチンとグラスを合せる。 「ありがと。ちょっとの間だけ、私が年上だね」 そういって少し泡の収まったビールを舌で味わう。 「うん、そんなに苦くなくて爽やかだね。美味しい」 すぐに出てきた前菜の盛り合わせは、花弁のように畳まれたサーモンスライスや、数種類のチーズ、マリネなどで、眼も楽しませてくれる。 一緒に暮らそう、と杏里が話したことで、話の内容はどんどんと現実味を帯びてくる。 どこの場所にしようか、間取りはどんな感じがいいか、広さは…?と、話は尽きることがなかった。 その後も、トマトと生ハムのサラダ、チーズフォンデュ、カットステーキと続き、メインはパスタとピザ、パエリアなどから選べる、ということで、ピザとパエリアを選ぶ。 「最後はスイーツも出てくるんだね、楽しみ」 締めのコーヒーとミニケーキ盛り合わせを待ちながら、杏里が目を細める。 「杏里、これ…」 慧が小さな箱を取り出し、渡してくれる。 「誕生日おめでとう」 「ありがとう…」 平べったい箱を受け取り、「開けていい?」と聞いてから、パステル調の包装紙を外していく。 「わっ、可愛い、ありがと」 蓋を開けると、ピンクゴールドのネックレスが入っていた。 トップは左右非対称のオープンハート、中に赤い石が下がっている。 よく見ると、ハートの形を作っているのは羽根だった。 「これってガーネット?」 「そう、誕生石だよね。形にこだわったから高級品じゃなくてごめん。普段に付けてね」 「嬉しい、可愛い、付けるね」 台座から外している間に、慧が立ち上がり、杏里の背中へ回ってネックレスをつけてくれた。 「今日の服に合ってる、良かった」 アイボリーの薄手ニット、首元はVカットだ。 「さりげなく羽根なのがいいね、お洒落…」 「うん、杏里は僕の天使だから…」 そんなふうに言われると照れてしまう。 そういえば慧は、「空から僕の天使が降りてきたと思った」って言ってたっけ。 「…杏里が、杏里のままで良かった」 ふと、慧がそういった。
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