父の幻影

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「オレをどこかに連れて行きたいのか?」  リヒトはジャグラの首に腕をかけた。それからよいしょ、とかけごえをかけて飛び乗った。 「オーケイ、ジャグラ」  リヒトが声をかけるとジャグラは首を持ちあげ立ちあがった。 「わっ」  考えてみなくてもドラゴンバードに一人で乗るのは初めてだ。 首に抱きつくにしてもジャグラは大きすぎて掴みにくい。 「そうか、体重を前にかければいいのか」  リヒトはジャグラの首にもたれかかるように体重を預け、手を添えた。  この方がずっと安定する。しかし、正直かなり怖い。  ジャグラがスピードを出して急に曲がったりしたら、絶対に振り落とされるだろう。 「ユリアはよくもまあひとりで乗っていたな。というより、よくドラゴンバードに乗ろうなんて思いついたよなあ」  ジャグラはリヒトを乗せたまま、ゆっくり谷底に降りて行った。
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