Ⅱ 画期技術とは

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

Ⅱ 画期技術とは

『人工知能は画期技術である』と書きましたが、 それは一体、どういうことでしょうか? 画期技術とは、経済・社会活動を大きく変え、 さらには制度・政策も変化させて、 文明活動の発展段階を画するような技術、 つまりは『社会を変える』技術です。 以下は、私的な文明論による説明となります。 文明活動の本体は、全ての人々が営む経済・社会活動、 自然から富を得て、それを豊かにするのが科学・技術、 人々で富を分け、それを健全に保つのが制度・政策です。 しかし、技術の利用には物的資源への具現化、 政策の実現には人的資源による実施、 政策が新たな技術を開発・普及する時には、 自然・社会環境が、制約または促進条件となります。 51133b1c-ffc5-43b9-91b4-835b86223a75 これらの六要素から文明の意義を説明するのが、 私見〝文明の星〟理論(仮説)です。 ご興味がおありの方は、拙作『文明の星』なども ご覧いただけましたら幸いです。 この理論でみると、技術には4種類があります。 それは、社会を直接大きく変える画期技術、 画期技術の物的資源化による実用化に役立ち、 次世代の画期技術も生み出し得る実現技術、 科学研究・技術開発に役立つ研究・開発技術、 制度・政策の実現を助ける社会工学的技術です。 e69d63de-2bf9-4ac9-992b-b647dedd0a12 技術なくして、文明の発展なし。 技術が進めば社会が変わり、政策も変わって、 その政策がまた次の技術を開発する。 その循環(サイクル)の中心となるのが、画期技術です。 478af8b4-63ec-431b-98b1-86487dc543e8 実はこの理論では、政策もまた4種類に分けられます。 経済・社会活動に直接働きかけて、 人々の利害を調整する経済・社会政策、 人的資源の確保のための保健・教育という人的資源政策、 制度・政策自体の企画・実施のための行政管理政策、 科学・技術の開発・普及を助ける技術的政策です。 0ab4d28a-c5bf-42df-8f84-06d3264e2f5c 政策なくして、文明の持続なし。 技術が豊かにした社会を健全に保つため、 人々の利害を調整し、新技術の開発を助ける という政策もまた重要です。 話を戻しますと、画期技術は社会活動から 制度・政策まで、文明活動全体を変えますが、 すでに各種の政策にも、人工知能を中心とした、 次世代技術の影響が表れています。 まず、すでに国の技術的政策でも、 狩猟・農耕・工業・情報社会に続くAI社会という意味で、 『Society(ソサエティー)5.0』という言葉が使われています。 文明としての順番でいえば4.0にあたるでしょう。 デジタル改革(トランスフォーメーション)という行政管理/技術的政策も、 官公庁から経済・社会活動全体に広げる形で、 情報化の完成とAI化を目指す政策です。 また、スマートグリッド(技術的政策の中の、インフラ政策)、 マイナンバー(経済・社会政策の中の財政・社会保障政策、 行政管理政策など各種の政策に活用)、 データヘルス(人的資源政策の中の、保健[公衆衛生]政策)、 エドテック活用(同じく人的資源政策の中の、教育政策)や、 スマート/スーパーシティ(インフラ/地方自治政策)等でも 人工知能の普及や利用を想定していると思います。 さらに後述のように、国連のSDGsのような、 人類文明の持続可能性を求める国際総合政策の実現にも、 人工知能などの次世代技術が不可欠になると考えます。 政策論としては基本所得補償(ベーシックインカム)の発想も、 人工知能による省力化が背景にあるといわれます。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!