泣き虫の話

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 頭の良い君とは同じ高校には入れなかった。  もう会わなくなるんだろうなって思って、あの頃もよく一人で泣いていた。  だから君から「遊びに行こう」と連絡が来た時は、嬉しいなんてもんじゃなかったよ。  友達の多い君にとって、僕といることに何のメリットがあるんだろうと思っていたけど、君がよく笑っていたからそれでよかった。  一緒にたくさんの場所に遊びに行った。多い時は毎週のように会っていた。  念願だった水族館に行った時、カラフルな熱帯魚や愛らしいイルカよりも、君に見惚れてしまった。  多分、あの頃から僕はおかしかったんだ。  君が買ってくれたペンギンのぬいぐるみは、僕の一生の宝物。  今もベッドで干からびたように横になっている僕を、じっと見守ってくれている。  僕は地元で就職して会社の寮に入り、君は都会の大学に進学した。  流石にこんな遠くに行ってしまったら、もう会えないかな。忘れられちゃうかな。  ぬいぐるみを抱きしめながら、僕はたくさん泣いた。  今までみたいに頻繁に会えなくなることが、なんでこんなに悲しいんだろう。  ――あぁ、そうか、僕は君のいちばんになりたいんだ。  気付いてしまった感情を封印するように、君の連絡先を消してしまった。  いつか君に恋人ができても、心から喜ぶことなんてできないから。  だからこんな自分の醜さを捨てるには、これしか方法がなかったんだ。  何度も悩んで、悩んだ末の決断だった。
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