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「……なぁ、園田の考えてることが、俺には分からない。だから、……頼むから、教えてくれよ」
君は僕を責め立てなかった。
どうして……
それに、そんな情けない顔、自信家な君には似合わない。
「……泣いてちゃ分かんねぇって」
君はハンカチを取り出し僕の涙を拭う。
僕が泣くたびに笑いながら慰めてくれた、あの頃と同じ顔で。
「お前の泣き虫はやっぱ治ってなかったな」
なんで?
なんで君はこんなに優しいの?
このまま僕の事を嫌いになってよ。
ギリギリまで堰き止めていた堤防が決壊する。
せっかく我慢できていたのに、一度流してしまったらもう制御は不可能だ。
堪えれば堪えるほど、涙を流した時の反動は大きい。
今回のは、復旧に相当な時間がかかるやつだ。
「うっ、…ひぐっ」
息が苦しい。
案の定、過呼吸になった。
こうなったら、僕はまともに言葉を発する事ができない。
最後にさようならを言いたいのに、意図せず突発的におとずれる吸気に邪魔される。
「園田、まずは落ち着こう。家、上がるよ?」
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