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「すみません!」
「あ、いえ、こちらこそ…」
ぶつかった彼女のバッグが落ちた。
拾って渡してやると
「ありがとうございます。」
彼女の目には涙が溜まっていた。
「すみません!」
そのまま走り去った。ずいぶんと慌てていた。
男に振られたのか、それとも別れたのか、どっちにしても関係ないか。
大きく息を吐いて気づく。スマホが落ちている。
何だか可愛いケースに覆われたスマホだ。
開いてもロックがかかっていて見られない。
あの子か、落としたな。
拾っておくか。そのうち電話でもかかってくるか。
バッグへ放り込む。
空を見上げたら、明日は雨かと思うほど天気は悪かった。
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