31人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
会うことにした。もちろん、仕事のあとだ。わざわざ合わせるほど余裕もない。
コーヒーくらいとしつこく言われて、駅前のカフェで待ち合わせた。
「スマホ拾って下さってありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ。警察にでも届け出れば良かったと後悔しています。」
仕事帰り、タイト気味なブラックスーツ。スタイルの良さそうな彼女は、モテるんだろうなとふと思う。
別に何と言うわけではないけれど、見惚れているのかもしれない。
「あの…、良かったら、夕飯ご一緒しませんか?」
笑える。思わず口に出た。
忙しいわけではないし、どのみち帰っても一人だ。誰かを誘うなんてどれくらいぶりか。
「いいですよ。」
あっさりオッケーか。
ムカつくほどの笑顔だ。可愛い。
彼氏がいなければ、付き合いたいと思える。でも、問題は自分も女だと言うことだ。
どう見たって普通の子だ。彼氏がいるいないの前に、女と付き合わないだろうな。
そんな自分の気持ちに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!