誤解という罪

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「捜査会議を始める」 埼玉県深谷市にある相馬物産後継者、相馬英明氏殺人事件の2回目の会議が始まった。 2日前の3月17日22時30分、英明氏の妹、相馬美莉さんが外出先から帰り兄が自室で死んでいるのを発見、その後通報。10分後相馬邸に所轄が到着した時には心肺停止の状態。その後死亡が確認された。 家族構成は長男の英明、双子の姉妹長女の美莉、次女の留莉。長男の英明とは母親が違い、双方母親は既に他界している。相馬邸にはその他通いの家政婦がいる。社長の健太郎氏は本社がある東京都江東区豊洲に居住。年に数回しか帰って来ないとの事。 事件があったと思われる時刻には相馬邸には、殺された英明氏と次女の留莉がいた。 「手嶋刑事、報告を」 俺は立ち上がり2日間でわかった事実を言った。 「事件当日、19時30分に長女の美莉が外出。20時に家政婦が電話中の英明氏に帰宅する挨拶をし家を出ています。電話していた相手の裏は取れています。なので家政婦の線はありません。又、その2人が出て行ったところは家の防犯カメラで確認してます。その前後相馬邸への出入りは誰もしておりません」 捜査本部長の質問が飛んで来た。「なら次女の留莉の犯行が濃厚と言う事だな」 「はい、そう言う事になりますが」 「が、なんだ」 「留莉は記憶障害の病気で」 「記憶障害?」 「はい、姉の美莉から聞き本日担当医に聞いて来ました。病名は『前向性健忘症』簡単に言いますと1日づつ記憶がリセットしてしまう珍しい病気です。原因は心的ストレスや外的ストレス。過去に何らかの強いストレスがかかったものと思われます」 へぇ~と横から声がした。俺は慌てて口を押さえる早見をチラッと見て続けた。
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