バナナ·ガールの・・・

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バナナ·ガールの・・・

「な、ななな、な、なにぃぃぃ〜っ!」  末信の驚き声に末信ママと妹は何事かとリビングを急ぐと、 「どうしたの、キャー」 「だ、だれ?」  そのギャルは驚いた2人の方に左手の鐘と右手の『当たり』と書いてあるちっちゃな旗を持ちながら振り向いて、 「チョモロハ〜、おめでとうございます〜。やく何千億本の中のバナナから当たりました〜」 「は、はぁ〜?」末信ママと妹は同じ右方向に頭をかしげた。 「そんなわけで」  そう言うバナナコスプレのギャル、急にそんなわけもわからないヤツの話を末信ママが聞けるわけがないと思う末信と妹。 「え〜、いいけど」  ドテンッ、あっさりと許可した末信ママに末信と妹はコケてしまう······。  四人はとりあえず台所のテーブル椅子に座りバナナのコスプレギャルに話を聞くことにしたのだ。 「はい、お茶どうぞ」 「ありがとうございます〜」  細目にしながらバナナコスプレのギャルを見るがどこをどうみてもただのギャル、少し頭のイカれた女子にしか感じない末信。  そんな彼は現役バリバリの『ハ大』高の高校生、そりゃギャル好きな女子も学校の中にはいるのを見かけたことはあるがこんなバナナを大々的にアピールしているギャルは見かけたことがない。 「なによ、さっきからジロジロ見て」向こうも感じたのか目を細めてきた。 「バナナから突然出て来たおまえは・・・」  彼はここであらゆる言葉を脳のネットワークから探す。  もしかしたら世界の危機、ちょっと変だがバナナで世界征服、いやいやいや俺たち家族を人質にするきだと、万が一それではまずいと慎重に声を出さなくてはいけない。 「それであなたはなんなの?」 「あっ」お母さんはあっさりと笑顔で訊いてしまった。 「あたしは・・・」 「ちょっ、ちょっと待ったぁーっ!」 「なにお兄ちゃん大声出して〜、うるさい」 「千夏(ちなつ)っ、おまえは黙ってろっ!」  こうなっては仕方がないと立ち上がり人差し指を向け、 「やいっ、バナナヤローッ、オレの家族になにかしてみろっ、ゆ、許さないからなっ!」 「はあ?」 「父さんが仕事のいまっ、オレの大切な家族は、オレが死んでも守ってやるっ!」  身体は暑いし汗もタラタラ、しかしここで相手に言っておかなくては大切な末信ママや千夏までが危険に及ぶと判断しこちらに注意をそらさせるため。 「ちょっと」 「さー、こいっ!」 「ちょっとお兄ちゃん」 「大丈夫だっ、家族は死んでもまもーるっ!」 「そうじゃなくてお兄ちゃん」  すると呆れたのか黙って聞いていたバナナコスプレのギャルは立ち上がり、 「なんにもしないわよっ、あたしは·のナナッ!」 「バナナの」 「精霊」 「バナナ·ガールのナナ?」  千夏、末信ママ、末信と順番に声が自然と出たあとしばし家の中は静かになった······。
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