悪い精霊か?

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悪い精霊か?

 ――夜、末信パパの帰宅時間。 「ふぅ〜、今日も疲れたな〜」  軽く1日を振り返りつつドアをノックするとガチャッと開き、 「おかえり~、お父さ〜ん」 「ただいま〜、お母さん」  ありふれた日常の良い夫婦の挨拶だがすぐ末信ママの後ろにいる短パンに半袖でオレンジ髪でギャルのような子が目に入る末信パパ。末信ママのお願いは服装の事で、家に合う服装にしてほしかったのだ。 「ん? 末信、ついに彼女がっ」 「うんうん、違うのよお父さん――」  テーブルに座り話を聞いた末信パパ、 「ふ〜ん、君がバナナの精霊か〜」 「チョモロハ〜」  ズズズズッとお茶を飲む姿を家族とナナは見守っているとその視線に変な緊張感もあわせて味わう。 「ふぅ〜、お茶ありがとうお母さん」 「は〜い」 「う〜ん、2ヶ月間家に住むって話だけど〜・・・」 「「ん〜」」皆の目に力が入る。 「だけど〜」 「「ん〜!」」更に力が入る。 「だけど〜」 「「ん〜っ!」」皆の目が徐々に充血していく。 「ちょっとトイレいってくる」  ガチャーンッ、その音に屋根のカラスも驚いた······。  トイレで用を済ました末信パパ、 「父さんっ、はやく決めてくれよ!」呑気姿にイラついていた末信だが、 「う〜ん、良いんじゃないかな」 「アハッ、ありがとうございます〜!」 「よかったわね〜、ナナちゃん」 「はいー!」  眉にシワを寄せ納得いかない。 「父さんっ、なんでっ」 「え? いいじゃないか〜別に〜、悪い子じゃないみたいだし〜、ねえっ」 「もちろんっ、悪い精霊なんかじゃないですよ〜!」 「ほら〜」  悪い奴が『ぽく、わるいです〜』なんて言うわけないじゃないかと内心では思うも末信パパまでそう言ってしまったからには仕方ないと折れる末信。 「それじゃお父さんはお風呂に入ってくるよ」 「「いってらっしゃ~い」」と末信ママと千夏はともかくナナまでもう家族にとけこんだかのように見送った。 「ったく、あ〜あ、んじゃオレは部屋に戻ってゲ〜ムでもしーてよ」 「お兄ちゃんもう2階に戻るの?」 「ああ、お風呂の出番になったら教えてっ、じゃっ」末信は1人部屋へ戻る。 「なによあれ、あんな態度とらなくてもいいじゃない、もうチョベリバなんですけど」 「ごめんなさいね〜、ナナちゃん。ああ見えて優しいところもあるのよ末信は」 「ママさんが謝ることじゃないですよ〜」 「これからの生活で少しは良いところが見えてくると思うから、よろしくね」 「こちらこそよろしくおねがいします〜」  ――バナナで当選して現れた精霊でバナナ·ガールのナナ。そんな彼女を警戒したりと末信の気持ちは複雑であった。だが彼のお風呂上がりに、 「あ〜、い〜いふ〜ろだった」と自分の部屋へと戻ると机にバナナと紙がはってある。 『これからもよろしく         精霊バナナ·ガールのナナより』  それはナナの手紙であった。 「・・・なにがバナナ·ガールだよ、モグッ、あっうめえ」  文句を言いつつもバナナを食べちょっとほっこりな末信であった······。
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